あなたは裁判員に当たったらどうしますか?
小さな子どもを育てるママであれば、不安を感じることの方が多いでしょう。
この記事では、実際に裁判員に当たった子育て中のママの体験を元に、裁判員に選ばれるまでのプロセスや、選任後の裁判員のお仕事について詳しくご紹介します。
今後、裁判員に選ばれるかもしれないあなたに、とても役立つ情報だと思います。
ぜひご一読ください。
裁判員に当たったらどうする!?そもそも裁判員制度とは?
「裁判員に当たったらどうしよう!」の前に、まずは裁判員制度というものを理解しましょう。
裁判員は高校生を含む18歳以上から無作為で選ばれます。
裁判員に当たった!?裁判員に選ばれるまでのプロセス
裁判員に当たった私が、裁判員に選ばれるまでのプロセスをご紹介します。
突然、「あなたは裁判員に選任されました!」となることはありませんので、ご安心ください。
裁判所から届いた黄色い封筒の内容は?
11月に入ったある日、私宛に最高裁判所からの黄色い封筒が届きました。
下記が通知の内容です。
- 裁判員候補者名簿は、選挙権を有する18歳以上の方の中からくじで選ばれた方が記載される名簿であること
- 〇年の裁判員候補者名簿に記載され、今後、裁判員に選ばれる可能性があるということ
- 現段階ではまだ裁判員に選ばれたわけではなく、すぐに裁判所に行く必要はないということ
- 裁判員に選ばれた場合、裁判所に行くことになる大まかな期間(来年以降)
要するに、あなたは裁判員を選出する候補者のリストに載りましたというお知らせです。
辞退はできるの?
裁判員候補者名簿に記載された段階で、辞退を希望する人は調査票に辞退の意思を示すことができます。
しかし、辞退が可能になるのは下記に当てはまる場合です。
- 裁判時に70歳以上である場合
- 数年以内に裁判員や検察審査員などの職についたことがある場合
- 学生や生徒である場合
- 自身に重い病気やケガがある場合
- 裁判員になれない人(参考リンク:裁判員制度ウェブサイトのQ&A)
- その他一定のやむを得ない理由がある場合
「仕事が忙しいから」などというだけの理由では辞退はできず、それを裏付ける資料等が必要です。
私の場合、
- 子供は小学生で、どちらの親も近くに住んでいて何かあればお願いすることができる
- 仕事は在宅で調整がきく
と、まず断る理由もないので調査票の提出はしませんでした。
再び裁判所からのお知らせ
裁判員候補者に選ばれた場合、裁判員選任手続期日のお知らせが届きます。
私の場合は、最初の黄色い封筒が届いた次の年の1月末で、裁判員選任手続の日時は3月の初めでした。
お知らせには下記内容が記載されていました。
- 裁判員選任手続の期日や場所
- 裁判員に選任された場合、参加する日時
- 同封の質問票に回答を記載して期日までに返送すること
ここで選任されると、いよいよ裁判員に決定ということです。
この時点で、裁判員に選任された場合の参加日時が記載されているのは、審理を行う刑事事件が決まっているということですね。
質問票には辞退の希望の有無を記載します。
いざ、裁判員選任手続へ
裁判員選任手続当日、会場に来ていた裁判員候補者は20人もいませんでした。
少なっ!当たるやん!
裁判員候補者が揃うと、下記の説明や質問がありました。
- 今回の裁判を担当する裁判長、検察官、弁護士の方の挨拶
- 事件内容・罪状・被告人の名前などを説明
- 被告人と特別関係があるかどうか
- 辞退する人がいないかどうか
辞退で手を挙げる人などもなく、この中から、裁判員6名と補充裁判員2名がくじで選ばれることになりました。
数十分後、くじの結果が発表され、私は補充裁判員にバッチリ当たってしまったわけです。
実感湧かぬまま法廷見学へ
まったくもって実感が湧かないまま補充裁判員に選ばれた私。
そのまま裁判長に法廷に案内され、軽く説明を受けましたがどんな内容だったかまったく覚えていません・・。
次に評議室に行き、裁判長と裁判官の方2名、今回選任された補充裁判員を含む裁判員8名で挨拶と今後の説明を受けました。
20代から60代くらいまでの男女が均等に揃っていたので、本当にくじなのかな?と少し疑問に思いました。
この日は金曜日だったのですが、次の週の月曜日から裁判員のお仕事が始まります。
裁判員に当たった子育てママの事前準備
裁判員に当たったからには、とにかく色々と準備が必要です。
あれこれと紙に書きだし、とにかく一番重要な子どものことを考えました。
主人や両方の両親、子どもを預けることになるご近所さんに裁判員に当たったことを報告し、今後のスケジュール調整などをしました。
裁判員に当たったことは公にしていいの?
裁判員に当たったことを公にすることは、法律上、禁止されています。
裁判員(補充裁判員を含む,以下同じ。)や裁判員候補者になられた方への接触や働きかけを防ぎ,そのプライバシーや生活の平穏を保護するため,裁判員や裁判員候補者であることを公にすることは,法律上禁止されています(裁判員法101条1項前段)ので,ご注意ください。
「公にする」とは,インターネット上のホームページ,ブログ及びSNS等で公表するなど,裁判員や裁判員候補者であることを不特定多数の人が知ることのできる状態にすることをいいます。
なお,相談や休暇取得のため,必要に応じて会社の上司や同僚,家族に話をしたり,裁判所から送付された書類を見せたりすることは問題ありません。
トピックス|裁判員制度ウェブサイト
ただし、準備や相談のために裁判員に当たったことを家族や周りの人に話すのは問題ありません。
裁判員としてお仕事をする日のスケジュール
まず気になる、裁判員としてお仕事をする日のスケジュールですが、裁判員等選任手続のお知らせに記載してあった通り、月曜から金曜までの5日間、午前9時30分頃から午後5時00分頃までを予定してくださいとのことでした。
裁判の内容などでかかる期間は変わるみたいです。
裁判官の方と世間話をしていた時に、1年程かかる裁判員裁判もあると仰っていましたよ
私が実際に裁判員としてお仕事をした時の時間帯は下記の通りでした。
月:9:30~15:30
火:9:30~14:30
水:9:30~17:00
木:9:30~16:30
金:13:30~15:30
比較的、早い時間に帰ることができ、遅くなっても17時には必ず帰れるので助かりました。
水曜日のみ、9:30~17:00までみっちりでしたが、これは前日に聞いていたので家のことなどは準備をしておくことができました。
裁判であっても評議であっても、ちょこちょこ休憩を挟んでもらえるので、2時間も3時間も椅子に座りっぱなしではありません。
子どもはどうする?小さな子どもを持つ裁判員のためのサポート
小さい子どもがいても預けることができるのなら裁判に参加したいという考えの方には、市役所で子どもを預ける施設を紹介してくれるようです。
住んでいる地域によって、内容は違うかもしれません。
保育施設にかかる利用料は、裁判員としての日当の中から払わないといけません。
今回選ばれた裁判員の中で、小さい子どもを持つ女性はいませんでした。
早い段階で辞退されているのかもしれませんね。
うちは近所の方と近くに住む両親のどちらにもお願いできたので、保育施設の利用などはありませんでした。
裁判員の服装は?
裁判員の服装に特に決まりはなく、スーツを着る必要もありませんでした。
よほど派手なものでない限り、普段の服装で大丈夫です。
法廷では座っているのでほぼ上半身しか見えないのだと思います。
裁判所までの交通手段
裁判員は、決まった期間に裁判所に通うこととなるので、交通手段を考えておく必要があります。
交通費は、自宅から裁判所までの距離で1日いくらという形で出ます。
自宅から通うのが困難な方は、認められれば宿泊費が出ることもあります。
裁判所にもよるかもしれませんが、私が通った裁判所は敷地内の駐車場が使用OKでした。
行きも帰りも通学・通勤時のラッシュになることを予想し、車で通うことにしたのですが・・
初日にトラブル発生!!
時間より30分程前に着いていたのですが、裁判所の駐車場どれも満車のマークが。
えええ・・・どうしよう・・><;
見ると、裁判所の前に記者やスーツの人達、報道系などの人だかりができていました。
敷地内駐車場があるからと、コインパーキングなどまったく調べていなかった私。
ですが、通り道にいくつかパーキングがあったなと思い出し、なんとか無事に駐車することができました。
評議室に入ると、裁判官の方が、
車停められなかったですよね?すいません、電話したんですが・・
優しい~!
確かに運転中に電話が鳴っていました。
この日は、別で長らく続いていた裁判の判決の日だったそうです。
裁判員の駐車のことにまで気が回るなんて、裁判官の方はどれだけ心に余裕があるんでしょうか。
この方だけでなく、裁判官の方が皆さんほんとに優しい方達で感激でした。
この日のパーキング代は1200円もしましたが、それは確認不足の自分のせいです、はい。
お昼ご飯は?
裁判員のお昼ご飯についてですが、私が裁判員を務めた裁判所では1食430円で日替わりのお弁当を頼むことができました。
お弁当を持ってきてもいいし、外で食べるのもOKでしたよ。
評議室にはペットボトルのお茶やコーヒーも自由に飲めました。
机の真ん中にはお菓子も用意されていたのですが、これは用意されていたわけではなく、裁判長のお心遣いだったそうです。
色々と至れり尽くせりでした。
裁判員に当たったらどんなことをするの?裁判員としての仕事
裁判員に当たったらどんなことをするのか、裁判員の仕事の流れをご紹介します。
裁判員に当たったら、その公判にすべて出席することになります。
公判で明らかになった内容を元に、その都度、裁判員と裁判官が評議をします。
裁判員は、事件の背後にある人間の感情や社会的背景を理解しつつ、個人的な感情を極力排除し、公正な立場で評決に携わらなければなりません。
法律に関することは法の専門家である裁判官の方がわかりやすく説明をしてくださるので、知識がなくても問題ありません。
評議の場では、補充裁判員も含め、裁判員全員の意見がしっかり出せる雰囲気でした。
裁判官の方が考えを押し通してくることもありません。
こういう経験がない私は、1つの議題について掘り下げていくとこんなにもいろんな意見が出るのか、と新鮮でした。
ただ、普段の生活とは考えることがかけ離れていて、一度にたくさんの情報が入ってくるので頭を整理するのが大変でした。
刑を決める時はさすがにとても緊張しましたが、自分だけの考えで物をはかるのではなく、たくさんの意見や今までの評議の内容から答えを出すことに集中できたので思い返すことはありません。
普段、頭の中で1つの物事に対して何周も何周も考えることはそうなくて、いかに自分が好き嫌いで物事を決めているかということを思い知らされましたね。
裁判員に当たったのち、裁判員をやり終えて
裁判員に当たった私が、裁判員を体験して思ったことや余談などをまとめました。
裁判員の守秘義務は?
裁判員には一定の秘密を守る義務が課されています。
簡単に表すと、下記の通りです。
守秘義務の対象 | 守秘義務の対象外 |
---|---|
評議の内容 被害者など事件関係者のプライバシー 裁判員の名前 | 法廷で見聞きしたこと 裁判員として職務を行った感想 |
裁判の傍聴は誰でもできるので、法廷内で聞いたことは人に話しても問題ありません。
プライバシーに関わることや評議の内容を話してはいけないということを守れば、そう恐れることはないのです。
裁判員を体験して良かった点と良くなかった点
私が裁判員を体験して思うメリットとデメリットを表にしてみました。
メリット | デメリット |
---|---|
一生に一度あるかないかの体験ができる 考え方が変わる 自分にでもできたという自信になる 子どもに裁判員制度について伝えられる 子どもに裁判官という職業について教えられる 知らない世界の話が聞ける 日当が貰える | その期間スケジュールが縛られる 事件の内容によってはストレスがかかる 再びその事件の関係者が事件を起こさないか不安 責任が重い |
あくまでも私の場合のメリット・デメリットです。
私が関わった裁判の内容はそう重くないものだったのですが、裁判によっては見たくないものを見ないといけない、聞きたくないものを聞かないといけないということもありえます。
その感じ方は人それぞれで、私ももっと重いものだったら最後までやり遂げることができたかはわかりません。
今の年齢だからできたということもあって、きっと若い頃の自分なら何か理由をつけて辞退していたと思います。
私の中のベストなタイミングで裁判員に当たったことは、とてもラッキーでした。
裁判員をやってみたから聞けた、知らない世界の話
裁判員に当たった私だから聞けた、その世界の話を少しご紹介します。
最近、ドラマでも裁判員裁判の様子などよく出てきますよね。
私、この裁判員裁判が終わってから、ずっと録画して放置していた『イチケイのカラス』を観ました。
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このドラマにも裁判員裁判の回があって、評議室で裁判官と裁判員が話している場面では、そうそう、こんな感じ~となりました。
あのドラマは竹野内豊さん演じる裁判官が「職権を発動します」と言い放っては、事件現場を調べに行ってましたが、
事件現場に行ったりしないですよ~
と裁判長が話していらっしゃいました。
そりゃそうですよね(笑)
そうそう、裁判官の方って2~3年で転勤があるそうです。
いろんな場所でその土地その土地の良い場所や美味しいものを知ったりできるのは羨ましいけど、家族は大変だな~と平凡な主婦は思うばかりでした。
裁判員に当たることを予感していた?
私と一緒に裁判員を務めた方が、「選任手続の時の自分のくじ番号が、いつも何かに当たる番号だったから絶対当たると思った」と話していました。
私も、少しそういう予感みたいなのがある人で、ぼんやりですがいつか裁判員に当たる気がしていました。
今回、通知が届いた時も割とあっさり、「あ、来たか」という感じでした。
あなたはどうですか?
予感があるなら、来るかもしれませんよ?
ふっふっふっ←誰?
その後
頭の中が裁判のことで一杯だった私ですが、裁判が終わると一気に力が抜けて翌日からよく眠れるようになり、サボりがちだった家事をしっかりやっていると、あっという間に1週間が経ちました。
気づけば、裁判所から日当と交通費で5万円ほど振り込まれていました。
また、数週間経つと、欲しい人だけが貰えることになっていた、判決要旨のコピーが送られてきました。
一応、記念にね、手を挙げたのです。
最終日に頂いた感謝状や裁判員をやり遂げた証明書などと一緒に保管しておこうと思います。
まとめ
実際に裁判員に当たった子育て中のママが、裁判員に選ばれるまでのプロセスや、選任後の裁判員のお仕事について体験談を含め、お伝えしました。
裁判官の方々のフォロー体制が整っており、法の知識がまったくなくても裁判員のお仕事自体は難しくありません。
ただ、子育て中のママに関しては、家族や周りのサポート環境がないと正直しんどいかなと思います。
そもそも小さな子どものお世話をしている時に、無理に裁判員をやらなくてもいいのかもしれません。
裁判員を体験して良かった点や良くなかった点でも書きましたが、私の場合は良かった点の方が多かったと思いますが、それも人により、内容によりそれぞれです。
ですが、こんなに貴重な体験ができることもそうそうありません。
知っている人が裁判員候補者になったら、「私はやって良かったよ!」と全力で言いたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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